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国語の文法に詳しい方、教えて下さい。

「なかったろうに」
「なかっただろうに」

両方耳にしますし、誤用を指摘する声も私は聞いたことがないのですが、どちらかが正しいというのはあるのでしょうか。
厳密にお願いします。

  • 質問者:匿名
  • 質問日時:2010-08-11 09:55:22
  • 0

結論から言いますと、どちらも正しいです。
助動詞の組み合わせ方が違うために、二通りの表現ができるだけです。


なかったろう=
 「なかっ」 形容詞「ない」の連用形 +
 「たろ」 連用形に付いて<過去>を表す助動詞「た」の未然形 +
 「う」 未然形について<推量>を表す助動詞「う」の連体形

なかっただろう=
 「なかっ」 形容詞「ない」の連用形 +
 「た」 連用形に付いて<過去>を表す助動詞「た」の連体形 +
 「だろ」 体言に付いて<断定>を表す助動詞「だ」の未然形 +
 「う」 未然形について<推量>を表す助動詞「う」の連体形

 体言に付くべき「だろ」が、連体形に直接接続しているように見えるのは、
 「た」と「だろ」の間に、「なかった(こと)だろう」「なかった(はず)だろう」のように
 何らかの名詞が省略されているものと考えられます。


それから意味の違いですが、厳密な違いを挙げるなら
文法から分かる通り、<断定>の助動詞の有無です。
単なる過去推量の「なかったろう」よりも、断定の意味を含む過去推量「なかっただろう」の方が
「絶対になかったはずだ」という決め付け、思い込みが強いということになりますが、
日常会話ではほとんど無視していいレベルの違いですね。

それよりも、現在形に置き換えて考えてみると感覚的に分かりやすいと思いますが、
「なかろう」「良かろう」「寒かろう」と、「ないだろう」「良いだろう」「寒いだろう」とを比べてみると、
後者には現代の口語として違和感がありませんが、
前者はちょっと古臭い、堅苦しい、偉そうな話し方という印象を受けます。
厳密な意味の違いよりも、曖昧ながらこういう感覚的な印象の違いの方が
この二語の場合は大きいように思います。

同じ意味の言葉でも、どういう言葉が好まれるかには、時代によって流行り廃りがあります。
今は後者が主流ですが、前者も主流ではなくなったというだけで、間違いということはありません。
意味の違いよりも、どちらが場の雰囲気に合っているか、
偉そうに聞こえたりしないかなどに注意して使用すれば、どちらを使用してもいいです。

  • 回答者:なかっ太郎 (質問から9時間後)
  • 11
この回答の満足度
  
とても参考になり、非常に満足しました。回答ありがとうございました。
お礼コメント

御丁寧にありがとうございます。
これだけは、自力ではどうにもたどりつけませんでした。

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