もう少し冷静になりましょう。
渡辺前行革担当大臣は、私が知る限り唯一、自民党内から
官僚主導行政に異を唱えることのできる人材です。
これまでの彼の主張には一貫して明確な裏付けがありましたので、
コイズミの、思い込みとパフォーマンスだけの無責任な言動と
一緒くたにしてしまうのはいかがなものかと思います。
個人的な見解の相違を理由に離党するのではなく、内閣に国民重視の姿勢が
見られないことを明確に示すという点でも、今回の対麻生宣言は有効です。
ただ離党届けを出しただけでは「色々と意見の相違があった」と
自民に焦点をぼかされ、言い逃れられてしまいますから。
また、年明けのこの時点で離党を宣言すれば、彼は政党助成金を
今年度は全く受け取れません。
相応のリスクを背負った上での離党発言である点を評価しないのは
アンフェアだと私は考えます。
今回の対麻生発言については、私はまだ詳細を把握していないのですが、
彼が具体的な公務員給与支払額やその調整方法を考慮することなく
今回の提案を適当にでっち上げたとは思いません。
相応の論拠があってのことではないかと推察します。
その検証をした上での批判ならばまだしも、現時点でいきなり批判に走る行為は結局、
現状の、無駄遣いで私服を肥やし続ける霞ヶ関官僚を利するばかりです。
国会議員報酬や議員年金に関しては、また別途 考慮すべき問題と思います。
これを今言い出して、官僚主導行政是正の流れが潰れて
うやむやになってしまっては、元も子もありません。
複数の案件を抱えている場合、優先順位の設定は最重要事項です。
現状ではまず、官僚問題の解決を優先すべきでしょう。
ついでに言うなら、彼の一連の霞ヶ関糾弾姿勢は大いに価値があります。
真っ当な仕事をして名前が通るのならば、売名、大いに結構。
私は異を唱える必要を感じません。
===補足===
国会議員の給与・三人まで認められる公設秘書の給与・交通費その他の諸経費、いわゆる議員歳費は、仮に公設秘書の給与が国会議員と同額だとしても、総額1億円には絶対に届きません。
国会議員全員・722人分と、政党助成金約330億円を加えても、年間1000億円にはならないということです。
今回麻生政権がバラ蒔こうとしている2兆円は、私の上記の計算が間違いでなければ、どんなに少なくとも、その20倍の額に及びます。
上記の計算には議員年金の経費は含まれていませんが、それを加えたところで、2兆円給付を今すぐ止めるために、これらの経費をもう何年か余分に払い続ける必要があるというなら安いものはないですか。
1000億程度を1回か2回惜しんで、2兆円もの国家(国民)の借金上乗せを進める愚策を放置するべきだ、というのなら別ですが。
また、国会議員の総額を減らすべきだというのは確かですが、衆議院の総数は1986年に512人だったものが、92・93・2000年に1・11・20人が削られており、現在では480人に減っています。
今後、選挙制度の改正とともに更に減る可能性も十分にあります。
さて。
議員年金の廃止法案廃案等について、これに反対し握り潰した自公・民主の議員を叱責するあなたの発言は当然かと思いますが、なぜ、ここではその矛先が渡辺氏だけに向けられているのでしょう?
全く正当性を見出せないのですが。
二つの問題を今すぐ同時に解決せねばならない絶対的な理由は存在しませんし、人が一度にできることは多寡が知れています。
ひとつずつ順を追ってクリアすれば良いではないですか。
なのに何故、『渡辺氏が』『今』それをしないことで、あなたはそうまで憤慨しているのでしょう。
私には、渡辺氏が、根元から腐った自民党内から突出した正論を吐いたのを、あなたが脊髄反射的に、単なるパフォーマンスだと断じてしまい、これを叩くべく論拠を探して、結局、見当違いな要素をあげつらっているだけとしか見えません。
渡辺氏は、一般公務員の生活を壊すほどドラスティックに給与を削ると言っていますか?
具体的に幾らのものが、どれほど落ちるものかを、あなたは把握しておられますか?
何れも正しくはないでしょう。
この時点では検証すらできていないことを、何故それほどムキになって叩こうとしているのか、私には全く分かりません。
また、公務員一人一人は悪くはないのだから、給与は絶対に減らしてはならない、というのもどうかと思います。
現に、民間では、給与の削減どころか失業・廃業が相次いでいます。
この状況下で、公務員の給与体系だけは絶対の聖域であるなどという言は、当の公務員本人の口からすら出そうにないとは思われませんか?
生活そのものが成り立たなくなるほどの減収を余儀なくされるものでなければ、公務員の給与は必要に応じて、時に、ある程度削らねばならないものでしょう。
彼らは、国民のために税金で働く「公僕」なのですから。
公務員の生活を支える為の税金は、どんなに苦しくとも絶対に支払い続ける責務が国民にある、などという訳でもないでしょうに。
更に。
現在、霞ヶ関官僚が毎年明細すらロクに公表せず、無駄遣いがほとんど全てかもしれないという有様で動かし続けている金額は、毎年『200兆円』を超えています。
この状況下で、霞ヶ関官僚の仕事振りを正確に分析し より適切な使い方を考えようとしている人々の筆頭が、渡辺氏だという事実をあなたは把握しておられますか?
国会は、立法府であると共に、行政の監視機構という側面も持っています。
渡辺氏は、自民党の長期政権下で失われて久しいその機能を、再び十全に発揮させようとしている、国会議員の本来の職務に忠実で、なおかつ有能な人材です。
私は、あなたの一連の発言は、渡辺氏の離党発言への、あなた独自の印象を元にした感情的なものでしかなく、理論性は極めて希薄だと言わざるを得ません。
私の発言とあなたの発言、どちらがより論理的か、もう一度考えてみていただきたいと思います。
また、「ご意見をお伺いしたいです。」と問いかけつつ、結局ご自分の意見に賛同される方に高評価、反対意見には低評価を付与していきつつある、回答者に対する現在進行中のその姿勢についても、今一度自省してみられることをお奨めします。
あなたは本当に冷静ですか?