マイクログリッドの成果、すばらしいですか。自然エネルギーには課題が多いことの証明ですか。宮古島の離島マイクログリッド、世界初の成果が続々 2012/4/30 11:02 沖縄電力が宮古島で行っている離島向けマイクログリッドの実証事業が成果を出し始めた。発電量が不安定になりがちな太陽光発電などの再生可能エネルギーを大量に導入しても、蓄電池をうまく活用すれば電力供給系統(以下、系統)の安定化が可能なことが実際のデータで確認されたのだ。 計算機によるシミュレーションや小規模な実験はこれまでにもあったものの、人口5万5000人規模で実際に運用している系統網において、蓄電池による系統安定化の効果が確認されたのは世界でも初めて。沖縄電力は、2013年までに蓄電池の活用法などを詰めて、同社管内のほかの離島や、海外の離島への展開を図る考えだ。■再生可能エネルギーを大量導入 この実証事業は、資源エネルギー庁の「離島独立型系統新エネルギー導入実証事業」の一環で進められている。電源のほとんどをディーゼル発電機に頼る離島で、低炭素化を図るために太陽光発電などの再生可能エネルギーを大量導入する際の問題点を洗い出し、解決に向けた技術を開発する。具体的には、蓄電池やEMS(エネルギー・マネジメント・システム)の導入によって、再生可能エネルギーの出力変動が系統に及ぼす影響を低コストで抑えることがメーンテーマとなる。 宮古島には、ディーゼル発電機を中心に7万4000kWの火力発電設備、4200kWの風力発電設備が設置されていた。そこに2010年10月に4000kWのメガソーラーが加わり、稼働を開始した(図1、図2)。全体の系統規模は約5万kWなので、太陽光発電の比率は8%、風力発電も加えた再生可能エネルギーの比率は16%になる。図1 宮古島に設置されたメガソーラー全景 (写真:沖縄電力)画像の拡大図1 宮古島に設置されたメガソーラー全景 (写真:沖縄電力)図2 宮古島に設置されたメガソーラーと風力発電設備 (写真:沖縄電力)画像の拡大図2 宮古島に設置されたメガソーラーと風力発電設備 (写真:沖縄電力) 火力発電および既設の風力発電設備は22kVの高圧送電系統につながっており、メガソーラーの出力についても昇圧することで22kV系統に流している。そこに、500kWのNAS(ナトリウム硫黄)電池パッケージを8台、つまり合計4000kW(=4MW)分をつなげて充放電できるようにしている(このうち1MW分はスイッチで6.6kV系統に連結)。この実証研究は、次の4項目の検証に分かれている。(1)出力変動の抑制(太陽光発電の出力変動を蓄電池で抑える機能と最適な蓄電池容量の検証)(2)周波数変動の抑制(系統全体の周波数変動を蓄電池で抑える機能と最適な蓄電池容量の検証)(3)スケジュール運転(気象データから太陽光発電量を予測し、蓄電池とディーゼル発電機の効率的な運用方法を得る)(4)最適な制御方法(太陽光発電や蓄電池をつないだ状態で一般家庭や商業施設などに配電したときの電力負荷を模擬し、さまざまなパターンにおける負荷の平準化方法を検証) 現時点までに、(1)と(2)について「技術的なめどが付いた段階」(沖縄電力研究開発部副長の渡久地政快氏)であり、(3)と(4)については2012年度に設備導入を終えてからの実験スタートになる。■0.3Hzの周波数変動があったら蓄電池作動図3 出力変動抑制効果の事例 2010年11月2日における実績である。赤い線が太陽光発電の出力。出力が低下すると、青い線で示したNAS電池の出力を上げるという制御をすることで、合成出力を安定させた。 (データ:沖縄電力)画像の拡大図3 出力変動抑制効果の事例 2010年11月2日における実績である。赤い線が太陽光発電の出力。出力が低下すると、青い線で示したNAS電池の出力を上げるという制御をすることで、合成出力を安定させた。 (データ:沖縄電力) 沖縄電力は日経BPクリーンテック研究所の取材で、上記の(1)と(2)の成果について具体的なデータを明らかにした。 まず出力変動は、蓄電池を再生可能エネルギーの発電設備ごとに個別に置くことで、その設備の出力変動をローカルに押さえ込めることが確かめられた(図3)。例えば太陽光パネルが十分に発電しているときは蓄電池に充電し、急に雲がかかったり雨が降ったりして出力が低下したら放電する。これによって、太陽光と蓄電池の出力を合わせた「合成出力」を平滑化できた。 周波数変動についても、よい成果が得られた(図4)。太陽光発電の導入前に、風がなく風力発電設備も稼働していない状況下では、周波数の変動幅は60Hzを中心にわずかな量に収まっていた。ディーゼル発電機の出力も変動せずに安定しており、効率的な運転になっている。しかし、太陽光発電または風力発電がそれぞれ稼働すると、周波数が0.1~0.2Hz近く上下に振れるようになってディーゼル発電の運転も小刻みに変化し、トータルでは0.3Hz以上変動することが分かった。 実系統だけに、0.3Hzを超えるとさまざまな支障が出てくる。そこで、設備ごとの個別ではなく系統側に蓄電池を置き、その蓄電池で系統全体に生じた周波数変動を直接抑制するようにした。これによって変動幅がほぼ問題ないレベルまで抑制できることが確かめられた。実際には、0.3Hzを上回る変動がありそうな場合に蓄電池を稼働させるという運用にしている。「蓄電池で安定供給を確保しながらでないと、実系統でこうした実験はできなかった」(渡久地氏)という。 宮古島では、冷房のニーズから夏場は約5万kWの電力需要があるものの、冬場は2万5000kWに減少する。同社は、通年で再生可能エネルギーが系統網に与える影響と抑制効果を検証し、2012年3月時点で「技術面では、当初に意図した通りの動きにほぼなっている」(渡久地氏)と判断している。 同社によると、前述のように出力変動は再生可能エネルギーの設備ごとに蓄電池で制御するので確実に平滑化できるものの、実際には遠隔にある各蓄電池の状況をネットワークを介して把握した上で制御する必要があるので、通信設備なども併せて設置しなければならない。これに対して、周波数変動は系統側で一括して制御するので、複数の再生可能エネルギー設備がある場合でも低コストで抑制できる。ただし、周波数変動抑制は系統規模が大きくなると効きにくくなる可能性もあり、どちらを優先するかは離島の電力状況によって選ぶことになるという。■蓄電池の使用量低減が課題 今後の課題は、蓄電池の必要量をいかに下げるかである。今回設置した4000kWというNAS電池の規模は、再生可能エネルギーの導入量とほぼ同じ規模であり、かなり大きい。実系統で実験するので、安全を優先して大量に設置した。これからは、周波数の変動幅などに応じてどの程度の充放電量を確保すればよいかを詰め、2012年度から始まる前述の「(3)スケジュール運転」や「(4)最適な制御方法」などの検証と合わせて、総合的に蓄電池の使用量削減策を確立する。 このうちスケジュール運転の検証では、まず気象データを用いて、日射量を予測して太陽光発電電力を計算し、発電出力カーブを作成する。その出力カーブと蓄電池の残存電気量から、発電および充放電の運転計画を立てる(図5)。当日は、そこからずれた部分だけを蓄電池で補正することで、電池の使用量を抑えられると見ている。■ディーゼル発電機を効率運転 さらに狙っているのは、ディーゼル発電機の運転を効率化することだ。4000kWの太陽光発電設備があっても、天候が悪化して出力がゼロになることを想定し、現在はディーゼル発電機をホットスタンバイさせている。つまり、複数台のディーゼル発電機を低出力で運転し続けて、太陽光発電の出力低下に常に備えているのである。スケジュール化によって、例えば「今日は雲もなく日中の出力低下はない」ことが分かっていれば、ホットスタンバイしているディーゼル発電機を減らすことができる。逆に、事前に太陽光発電の出力が落ちることが分かっていれば、蓄電池を稼働させる運用に切り替えることで、やはりスタンバイ状態のディーゼル発電機を減らせる。 加えて「(4)最適な制御方法」では、家庭や学校・商業施設に設置した太陽光発電設備や蓄電池と、6.6kV系統といった上の送電階層に設置した設備をどのように連係制御すると効率よく変動を平滑化できるのかを探っていく。系統側で変動分を全部受け持たず、一部は需要家のところにある設備で吸収してもらうことで、蓄電池の量を削減しようというわけだ(図6)。具体的には、学校・商業施設を模した150kW出力の太陽光発電設備と、家庭を模した4kW出力の太陽光発電設備25軒分から成る需要家の模擬回路を1ブロックとし、それを4ブロック設置して、太陽光発電を積極的に使ったり、スマートハウス化したものなどさまざまな負荷パターンを模擬的に作り出して効果を検証していく。図6 模擬の配電線路を用いた最適制御のイメージ図 (データ:沖縄電力)画像の拡大図6 模擬の配電線路を用いた最適制御のイメージ図 (データ:沖縄電力)■海外の離島向けにも展開を狙う 沖縄電力は、今後2年間でこれらの検証を行って離島向けのマイクログリッドの技術を確立した上で、沖縄電力管内だけでなく、海外の離島にも展開したい意向だ。「宮古島で開発しているのはフルスペックのマイクログリッドだが、島々のニーズに合わせて必要な機能に絞り、蓄電池の搭載量も最適化して、展開していきたい」(同社研究開発部次長の上原真二氏)という。 というのは、太陽光発電などの再生可能エネルギーに加えて蓄電池を搭載したマイクログリッドシステムはコスト高になるが、離島ではもともと電力コストが高いので、今後再生可能エネルギーのコストが下がっていくと、経済的なメリットが出やすいからである。実際、宮古島のケースでも、ディーゼル発電機に使う燃料代や燃料輸送費がかさむことから本島に比べて電力コストが1.7倍にもなっているという。このため、「宮古島レベルの数万kWレベルの系統規模の離島であれば、将来的に再生可能エネルギーと蓄電池を導入しても採算がとれる可能性が高い」(上原氏)と同社は期待している。(日経BPクリーンテック研究所 藤堂安人)http://www.nikkei.com/tech/ecology/article/g=96958A9C93819499E0E5E2E3878DE0E5E2E6E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2;df=4;p=9694E3E3E2E7E0E2E3E2E0E0E2E7
離島向きのシステムですね。何にせよ、更なる、データを取り、実用化すれば、御の字だと思います。
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すごいとおもいます。 さらに進化させてほしいです。
素晴らしいと思いますが 自然エネルギーは常時安定して供給していけるのだろうか
そのためのこの計画です
すげぇ こんなのがあるんですね。 自分の知識が少し増えました。 ありがとぅございます。
課題は電池のようですね。これが採算性を考える上でのキーパーツになります。
すばらしいです。 そんなのが、あるのですね。
すばらしいとまではいきませんが、良いと思います
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