「金が欲しくて働いて眠るだけ」とRCサクセション時代の忌野清志郎が歌っていたのが30年近く前のこと。当時の私は学生だったから「そんなものかな」と思っていた。
働くこと(勤労)は,国民の三大義務(残りは教育と納税)だという。働かざる者食うべからずなどという言葉もある。しかし「決まりだから働く」のでは正直言って虚しい。
金が欲しいのは,金が無ければ物も変えないし,文字通り食うことも出来なくなってしまう。食うことが出来なければ死んでしまうが,死ぬのは嫌だから働くことになる。ここまでは消極的な理由。
それでは,働くことに何か他の口実が必要だ。格好をつければ,生きてきた証のようなものが欲しいのかもしれない。しかしこれも「自分探し」に似ていて手段であっても目的にはならない。
結局,この問いにひとつの答えを見つけるのは難しい。少なくとも「(食っていくための)金が欲しくて働いて眠るだけ」というのは,今でも正解のように思える。そこから先に何かあるのだとしたら,働くという行為を通じて自分の生きてきた証をどこかに残しておきたいということではないかと思う。