頭痛の治療には、まず頭痛の原因を特定しなければなりません。
一次性頭痛(他の疾病を伴わない頭痛)には、片頭痛、緊張性頭痛(筋収縮性頭痛)、群発性頭痛の3つがあります。
片頭痛は、片方のこめかみが脈に合わせてズキンズキンと痛みます。1度に片側しか痛まないという特徴があります。痛みは数時間続きます。発症頻度は月に数回から2~3ヶ月に1回と頻度が低い人が多いですが、週に数回と頻度の高い人もいます。
緊張性頭痛は、頭を締め付けられるような痛みや頭が重い感じ(頭重感)があり、痛みが軽くなったりひどくなったりしながらダラダラと続くという特徴があります。慢性化する頭痛で、毎日なんとなく頭痛がするケースが多いですが、痛みは鈍く、ときどき強くなります。
群発性頭痛は、深夜に突然、激烈な頭痛に襲われ、1~2時間で収まります。痛みが非常に強く、深夜にしか起こらないという特徴があります。患者のほとんどが男性なのも特徴です。
動作に伴う頭痛もあります。
・一次性咳嗽性頭痛:咳やくしゃみ、力んだときだけ痛みます。痛みは短時間で収まります。
・一次性労作性頭痛:運動(動くこと)によって頭痛が起こり、じっとしていると痛みません。
・睡眠時頭痛 :寝ているときに起こります。頭痛で目が覚めますが、痛みは鈍いのが普通で、激痛の場合は群発性頭痛が疑われます。
・性行為に伴う一次性頭痛:性的興奮が高まるのにつれ痛みが起こります。こめかみが脈打つように痛みますが、両側が痛むので片頭痛と区別できます。一次性労作性頭痛に似ています。
痛み方での分類もあります。
・一次性穿刺様頭痛:頭部のごく狭い範囲に、さしこむような痛みが走ります。痛みは短時間で治まります。
・一次性雷鳴頭痛:突然、激しい頭痛に襲われ、一定時間続きます。くも膜下出血の頭痛に似ています。
・持続性片側頭痛:数日間、片頭痛が続きます。痛む側が移動せず、ずっと同じ側が痛むという特徴があります。
・新規発症持続性連日性頭痛:締め付けるような痛みが何日も続きます。緊張性頭痛に似ていますが、痛みが和らがず、ずっと同じ強さで痛むのが特徴です。
一次性頭痛は良性頭痛とも言われ、痛いだけで済みますが、二次性頭痛は他の疾患(多くが脳疾患)によって起こるため、注意が必要です。症候性頭痛とも呼ばれます。
一次性頭痛は慢性化しますが、急に頭痛が起こるようになった場合は二次性頭痛を疑ってみる必要があります。
二次性頭痛の原因には次のものがあります。当てはまるものがないか確認してみてください。
・側頭動脈炎:こめかみの動脈に炎症起きて痛みます。血管が浮き出し、押すと激痛が走ります。痛みに変化がなく一日中痛みが続きます。微熱も伴います。失明や腎不全の危険性があります。
・髄膜炎:ウイルスや細菌、カビなどが原因で、軟膜とくも膜で炎症が起きます。1~2日で頭痛が強くなり、吐き気や食欲低下が起きることもあります。
・高血圧:血圧調整のホルモンバランスが原因で起きます。ホメオスタシス障害とも呼ばれます。ほとんどの高血圧症の患者さんには、頭痛などの自覚症状が起きません。
・慢性副鼻腔炎:鼻の奥の空洞部分に炎症が起きます。顔面や額、前頭部に鈍い痛みが続きます。
・くも膜下出血:くも膜下の動脈血管が破裂して、突然激しい頭痛に襲われます。頭を殴られるようなガンガンした痛みが続きます。意識を失ったり、もうろうとする場合もあります。
・慢性硬膜下血腫:硬膜内部に血腫ができます。頭を強く打つと起こりますが、症状が数ヶ月後に出たりするため、原因の特定が難しいことがあります。首を左右に振ると強い頭痛が起こり、意識障害が出ることもあります。
・脳腫瘍:頭蓋骨内部にできた腫瘍が脳を圧迫して起こります。症状は腫瘍の位置によって違いますが、麻痺や認識障害、ろれつが回らない、ふらつきなどが起こります。腫瘍が大きくなると徐々に頭痛が現れ、痛みがひどくなっていきます。
高血圧が原因で頭痛が出る場合、高血圧性頭痛と呼ばれますが、通常は中程度の高血圧では頭痛は起こらないとされています。200を越すような重い高血圧症で発症します。
痛み方の特徴を確認してみてください。片側のこめかみが脈打つように痛むなら、片頭痛の可能性が高いです。現在、片頭痛には有効な予防薬と痛み止め(トリプタン系製剤)があります。
頭を締め付けられるような痛みで、長時間続く場合は、緊張性頭痛の可能性が高いです。緊張性頭痛には薬がなく、症状緩和に有効とされる薬を組み合わせて飲みます。
内科では160程度だと降圧剤は処方しないと思います。年齢にもよりますが、高血圧症とまではいえないからです。しかし、降圧剤は緊張性頭痛の有効な治療薬です。通常、β遮断薬のインデラルを使用します。血圧が原因と思われるのでしたら、脳神経科か頭痛外来に行ってみてください。インデラルで頭痛が止まれば、それにこしたことはありませんし、ダメなら他に、てんかん薬のデパケンや、旧型の抗うつ剤、筋弛緩剤などを組み合わせます。
もし頭痛が片側のこめかみだけで起こっているのでしたら、片頭痛の予防薬でテラナスという薬があります。片頭痛の頻度の高い人は、予防薬を毎日飲むことで片頭痛の発症頻度を減らすことができます。頻度の少ない人は予防薬までは飲む必要がないので、レルパックスなどのトリプタン系片頭痛薬を痛み止めとして頓服で服用します。緊張性頭痛のひどい症状や、群発性頭痛にも効果があります。
血圧と血管の拡張には関連性があるので、片頭痛薬での改善も期待できると思います。